ドイツ文学史

<夏期スクーリング 文学部専門分野>
第二次世界大戦後のドイツ文学における「過去の克服」をキーワードにベルンハルト シュリンク「朗読者」を取り上げる、ということだったのだが、「朗読者」に費やしたのは1日ぐらい、あとはいろいろ背景の確認とか別の作品とかの紹介だった。「朗読者」が好きだから講義を申し込んだだけに、もうちょっと深く掘り下げてもらえたらうれしかったのだが、シュリンクの他の作品も読めたし、今後のドイツ文学への関心も高まったし、とても楽しい7日間だった。今の時代が感じられる文学が好きなので、私はあんまり古典が好きじゃない。その「今が作られてきた時代」というか、より今に近い近世、そういうのを知ることの必要性、文学へのリンク方法の重要性も学んだ。私が小説に求めるものが変化し、今まで以上に甘い恋愛小説が読めなくなってしまった。悪いことか良いことか。
そんなドイツ文学者のひとりとして、名前だけではあるがギュンター グラスも紹介されたのだが講義が終わって数日後、彼がSSにいたことを告白したというニュースが流れた。グラスは「ドイツ人における過去の克服」じゃなくて、たんに「己の過去の克服、己の贖罪」を綴っていただけだろうか。講義の続きが聞きたい。

朗読者朗読者
ベルンハルト シュリンク Bernhard Schlink 松永 美穂

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