読了/砂のクロニクル

砂のクロニクル〈上〉 (新潮文庫)

砂のクロニクル〈上〉 (新潮文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
民族の悲願、独立国家の樹立を求めて暗躍する中東の少数民族クルド。かつて共和国が成立した聖地マハバードに集結して武装蜂起を企む彼らだったが、直面する問題は武器の決定的な欠乏だった。クルドがその命運を託したのは謎の日本人“ハジ”。武器の密輪を生業とする男だ。“ハジ”は2万梃のカラシニコフ AKMをホメイニ体制下のイランに無事運び込むことができるのか。山本周五郎賞受賞作。

はしょりすぎの内容紹介でちょっと疑問だけどとりあえず載せた。
歴史の中に名が残るわけでもない人間達がその大きな歴史の中で何をしているのか、
どう生きているのか、まさしくタイトル通りのことなのだけど、
読み手には砂どころか深く深く刻み込まれてしまうクロニクル。
ひとりずつ語られていく物語が最後には一線に繋がる様は身震いするし、
繰り広げられる殺戮場面は相変わらず事細かで辛い。
後味も決して良くないのに「読んで良かった」と思わせるものは何なんだろう。
結果がどうなったにせよ、登場人物ひとりひとりの生き様に違和感が残っていないせいなのか。
(ひとりだけ彷徨ってそうな人がいるけど)。
自分には民族独立や宗教を背景に命をかけることが理解出来ない。
だからこそ、こういう類の小説に惹かれるのかも。
wikiで調べたら、これを原作に芝居の上演をした劇団があったようだ。
やろうと思うのがすごいなー。


船戸さんの小説って田○陽子あたりに読ませたら頭から湯気出して怒りそうだよね。