香水―ある人殺しの物語

香水―ある人殺しの物語香水―ある人殺しの物語
パトリック ジュースキント Patrick S¨uskind 池内 紀

文藝春秋 2003-06
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vogelさんのblogで紹介された時から読みたくて読みたくて。そのあとすぐに本は買ったのだけど、野沢さんの本同様、レポートを書いている間は・・・と我慢していたが、最近、映画のチラシをもらって来て内容を(っていうかオチその1を)読んでしまったので、ついでに全部読んじゃえーと手を出してしまった。上記のカバーは古いタイプ、今は映画ポスターのものになっているのだが、それがまた大変美しい。

大物映画監督達が映画化権を熱望したということなのだが、確かに香りを具体化するための描写は丁寧である。ぜひこれを立体化したい!と思うのは職人さんなら当然だろう。綺麗な描写じゃないものが多いのがちょっと辛い。。本の中から香りを感じるためにはその香りを知っていなくちゃ実感出来ないと思う。そう考えれば前半部分はまぁなんとなく分かるとして、後半になると想像の香りでしかなくなっちゃう。オチその1の香りってどんなんだよ。

vogelさんも書かれているのだが、物語は本当に淡々と進んでいく。各章ごとを濃く書き伸ばせば、もっともっと長編になりそうなのに。そうさせなかった作者と編集者はえらい。香りの描写の強さと物語の進行の淡泊さが良いのかもしれないから。世界中でベストセラーになって、ずっと読まれ続けているというのは納得出来る。私はかなり好きだ。レポートのめどが立ったらもいっかい読み直そうと思う。それぐらい好きだ。映画も観たいなー。