なんやかんやゆーても好きよ
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文庫の新刊が出るのを楽しみにしている作家さんのひとり。今回はまぁまぁかな。(以下、内容に触れてます)
今回のはゴルフとかシガーとかパソコンに不得手だとかおやじなネタが多くて、ちょっとまどろっこしかったのに加えて、メインのひとりになっている中小企業の小金持ちな社長である桂二郎、その会社もゆくゆくはまだ入社もしていない息子に跡を継がせようとしている同族会社、がどうも鼻につく。女性側の主人公である留美子さんがとても魅力的だったので、もちょっとこっちを書いて欲しかったなぁと思う。あんまり書くとこの方のファンには結構濃い方が多いから、非難されちゃうかな...。
もちろん、今回も考えさせてもらえることが多かったし、比較的若い男性キャラクターには素敵な人がいたし(亮さんとか俊国さんとか突然米子に飛ばされた小杉さんとか)、今までの作品で感じた「登場人物達を放りだしたまま」という読後感もなかった。留美子さんと俊国さんはきっと、ふたりで飛ぶ蜘蛛を見ていると思うし。今の日本の様も本当にここに書かれている通りだと私も思うから共感も出来るのだけど、うーん、やっぱり桂二郎さんって好かんー。どうにも紳士な雰囲気に思えないんだよねぇ。